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2008年度第4回研究会 |
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海域クレオールとしてのサマ・バジャウ
――東インドネシア調査の展望
長津 一史さん(東洋大学社会学部)
□ 日時 2008年11月17日(月) 18:10〜19:40
□ 場所 東洋大学白山校舎 5401教室
□ 要旨
サマ(バジャウ)人は,フィリピン南部からマレーシア・サバ州,インドネシア東部に至る広い海域に拡散居住している。その一部は、1950-80年代頃まで、沿岸・島嶼海域で船上生活を営んでいた。他のサマ人の多くも、生活様式や他の様々な面で海と密接に関係している。こうした生活様式ゆえにかれらは、東南アジア島嶼部を代表する海民集団のひとつとみなされてきた。
しかしながら、海民としてのサマ人は、けっして非歴史的な実体として存在してきたわけではない。たとえば、東ジャワ州のカンゲアン諸島のサペカン島では、1930年代以降に、在地住民と移民が海を生活の場とするようになり、その過程で同時に「サマ化」してきたと考えられる。この島では、現在でも出自に関わらずサマ語を日常言語化し、同時に自らをサマ人とみなす傾向が顕著にみられる。東インドネシアでは、このように異なる出自の人びとが海域フロンティア空間において混淆し、サマ人口を構成している例が少なくない。ここではサマ人は、いわばクレオール的な海民として生成してきたと考えられるのである。
本報告では、近年の東インドネシアにおける調査を紹介しつつ、いま述べたようなサマ人の集団編成のダイナミクスについて検討してみたい。
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