2009年度第1回研究会
マニラにおけるムスリム・コミュニティの社会形成と変容

渡邉 暁子さん(東洋大学社会学部)

□ 日時 2009年4月20日(月) 18:10〜19:40
□ 場所 東洋大学白山校舎 5401教室

□ 要旨
 フィリピンは東南アジアで唯一のキリスト教国家である。そのなかで南部フィリピンに居住するムスリムは、1960年代末より武力を伴った分離独立運動を展開してきた。このため、従来のフィリピン・ムスリム研究の多くは、中央政府と対立する南部イスラーム勢力をめぐる諸問題を主題としてきた。しかしながら、戦禍を逃れ、国内外での経済的向上を求めてマニラに移動したムスリムは現在12万人を超え、もはや特定の領域内でその社会を捉えることが困難になっている。首都において政治的、経済的に重要な位置を占めるようなったムスリムに対し、その社会に関する研究は端緒についたばかりである。
 本報告ではこうした研究動向をうけて、マニラのムスリム・コミュニティを対象とし、国家のマイノリティとしてのムスリムの社会文化面での動態を理解することを試みる。具体的には、グローバルなムスリム・ネットワークとムスリム・コミュニティ形成との関連、ムスリムとキリスト教徒との日常的な交渉や関係、都市マイノリティとしてのムスリムの自己表象の戦略といったものを、フィリピン国家をとりまくマクロな社会経済状況の変化との相互作用のなかで、ムスリム・コミュニティの社会形成過程に位置づけ、考察していく。

白山人類学研究会世話人
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