The 5th Annual Forum, Hakusan Anthropological Society
 
第5回白山人類学研究フォーラム
本研究フォーラムは、東洋大学アジア文化研究所/「トランスナショナル・コミュニティ
の地域間比較」(科研:松本誠一(東洋大学)との共催で行われます。
跨境コミュニティにおけるアイデンティティの持続と再編
――東アジアと東南アジアからの展望――

□ 日時 2011年11月19日(土) 13:00〜17:40
□ 場所 東洋大学白山キャンパス 3号館2階3205教室
(地下鉄東京メトロ本駒込駅、または都営地下鉄白山駅)
※最寄り駅までは右URLを参照(http://www.toyo.ac.jp/access/hakusan_j.html)
※構内は右URLを参照(http://www.toyo.ac.jp/campus/hakusan_j.html)
主催:東洋大学白山人類学研究会

□フォーラムの趣旨
1990年代以降のグローバル化と総称される地球規模での人・物・情報の流動化にともない、世界中で、様々なレベルの組織や団体が急速にトランスナショナルな性格を帯びるようになった。出自や言語、宗教を基本的紐帯としてきた在地の少規模コミュニティが、異なる国家に属する成員によって構成され、複数の国家に跨る関係性を内包するようになっていることも、いまでは稀ではない。他方、東アジアや東南アジアの国境地帯には、いま述べたグローバル化が進行する以前から、複数国家に跨がる生活圏に生きてきた人々が多数住む。従来から日常生活レベルで国境を跨ぐ社会関係を維持、再編してきた、「プロト・トランスナショナル」と形容しうるような在地コミュニティを跨境コミュニティと呼ぼう。こうした跨境コミュニティもまた、1990年代以降は、従来とは異なる様式のグローバルな社会関係――世界的な宗教組織や開発援助団体などのネットワーク ――に連接する(再)トランスナショナル化を経験するようになっている。
 1990年代以降のグローバル化は、東アジアと東南アジアの跨境コミュニティの(プロト)トランスナショナルな社会関係をいかに変質させ、成員のアイデンティティ編成にどのようなインパクトを与えたのか―― 本フォーラムでは、まずこの問いをフィールドワークに基づいて微視的に探る。東アジアについては日本―韓国間の国境域、特にその韓国側に位置する国境の島、コジェド(巨済島)の事例が取り上げられる。東南アジアについては、フィリピン・ミンダナオ島とマレーシア・サバ州それぞれのサマ(バジャウ)人社会の事例が対象とされる。サマ人は、東南アジアが植民地化される以前から、後に国境で分断されることになる同地域の島嶼沿岸で移動的な生活を営んできた。これらの事例報告を基に、フォーラム全体では、東アジアと東南アジアそれぞれの跨境コミュニティにおける(再)トランスナショナル化の社会的、文化的な意味とその異同を、国境・国籍の管理のような制度的背景や、開発・開発援助のような同時代的文脈をふまえて、ややマクロな視点から比較検討することを試みる。

プログラム
13:00-13:10 開会の挨拶 高橋継男
(アジア文化研究所所長)
13:10-13:30 趣旨説明 松本誠一
(東洋大学社会学部)
 
◇セッション 1 東アジアの跨境コミュニティ――国際化とアイデンティティの動態
 
13:30-14:00 韓国巨済島キリスト教会に見た跨境的生活の実態を通じて
――アイデンティティ論再考
井出弘毅
(アジア文化研究所
14:00-14:30 日韓境域の島々と「海峡圏」交流
――巨済島属島を中心に
松本誠一
(東洋大学社会学部)
14:30-14:45 コメント 植野弘子
(東洋大学社会学部)
14:45-14:55 休憩  
 
◇ セッション 2 東南アジアの跨境コミュニティ――開発とアイデンティティの動態
 
14:55-15:25 開発援助の現場におけるサマのアイデンティティ再構築
――フィリピン・ダバオ市からの事例
青山和佳
(北海道大学大学院・メディアコミュニケーション研究院)
15:25-15:55 「バジャウ・ラウト」はいかに生成したか
 ――マレーシア・サバ州の境域における自己表象の動態
長津一史
(東洋大学社会学部)
15:55-16:10 コメント 鈴木佑記
(日本学術振興会特別研究員)
16:10-16:50 ◇特別講演
韓国島嶼における日本人移住漁村の生成と変化
崔 吉城
(東亜大学・東アジア文化研究所・所長)
16:50-17:00 休憩  
(18:00から懇親会)

白山人類学研究会世話人
代表:松本 誠一
運営委員: 植野 弘子 長津 一史 山本 須美子
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