2012年度第5回研究会
宗教実践にみる自然災害
−タイ南部ムスリム村落におけるインド洋津波災害とグローバル化の一断面−

小河久志さん(大阪大学グローバルコラボレーションセンター)

□日時 11月19日(月)18時10分〜
□場所 東洋大学白山キャンパス 5403教室

□要旨
2004年12月26日にインド洋沿岸を襲った津波は、タイにも未曾有の人的、物的被害をもたらした。津波後、被災地では、タイ政府をはじめ国内外のNGO団体や民間企業などから様々な形の支援、援助がなされた。しかし、中身や実施過程を詳しく見ると、それは必ずしも被災地が置かれた状況に適ったものとはいえず、各地で支援をめぐる不和や復興の遅れといった問題が生まれた。 タイにおけるインド洋津波災害を扱った人文・社会科学分野の研究は、こうした状況を受けて、主に被災地の政治・経済の変化に注目してきた。しかし、災害人類学者のオリヴァー=スミスが災害は「環境・社会・経済・政治・生物などの状態に影響を与えるもの」(オリヴァー=スミス2006: 29)と述べているように、それらはあくまでインド洋津波災害の一部にすぎない。 本発表では、タイ南部トラン県のインド洋津波被災地に住むムスリム住民の宗教実践を事例に、津波が信仰という被災地の私的領域に与えたインパクトを解明する。そして、トランスナショナルなイスラーム復興運動や国家政策との関わりなどに着目しながら、被災地におけるグローバル化の様相やインド洋津波災害の長期性について検討したい。

※終了後、白山近隣で懇親会を予定しております。



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