2013年度第1回研究会
中間集団としての生産者協同組合の社会的布置 ――ラオスにおけるコーヒー仲買人と農民との関係を事例に

箕曲在弘さん(東洋大学社会学部)

□日時 5月27日(月)18時10分〜
□場所 東洋大学白山キャンパス 8305教室

□要旨
 一般に協同組合とは、参加による自己統治を通じて、住民を市場経済に適応させて貧困を解消し、民主主義を実現する市民社会組織の一つだといわれている。一方で、この協同組合は、人びとの自発的な行動を促す場となるだけでなく、統治の場ともなりうる。古くはエミール・デュルケームが、社会形成における道徳や社会規範、善や義務の観念を涵養する場として生産協同組合を含む職業集団をみなしていた。したがって、協同組合は、私的領域である市場や公的領域である国家の力を抑止する自立した領域である一方、それらのモラルを涵養する機能をも果たす、そのような領域を指す。
 とはいえ、このような協同組合の社会的な布置は、理念的なものであり、社会環境が異なれば、さまざまな形態の協同組合が存立することになる。そこで本報告では、ラオス人民民主共和国南部のボラベン高原における、コーヒー栽培に従事する農民を対象としたフェアトレード生産者協同組合を事例に、協同組合と村落社会との関係性について考察する。とくに、村落社会において力をもつコーヒーの仲買人と協同組合の運営メンバーとのやりとりに注目し、協同組合設立から、今日に至るまでの組合メンバーと仲買人との結びつきを明らかにする。この事例から村落社会におけるコーヒーの交易のあり方と、協同組合が目指す交易のあり方が相互に浸透しあうことによって、協同組合の社会的な布置が国家や市場との関係においていかにして形成されているのかを考察する。

※終了後、白山近隣で懇親会を予定しております。



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