第6回白山人類学研究研究会
開発が/を紡ぐ社会関係
―――カンボジア農村の開発プロセスにみる「支援者?被支援者」関係の揺れ動き

秋保さやかさん(筑波大学大学院人文社会科学研究科博士課程)

□日時 1月19日(月)18時10分〜
□場所 キャンパス 8303教室(8号館3階)
       (地下鉄東京メトロ本駒込駅、または都営地下鉄白山駅)
       http://www.toyo.ac.jp/access/hakusan_j.html        

□要旨
開発を扱う人類学はこれまで、西洋由来の画一的で図式的な開発理念では意図されない多様な反応が、ローカルな開発の現場で生み出されていることを明らかにしてきた。本発表では、カンボジア農村におけるNGO主導の参加型開発プロジェクトを事例として取り上げ、ローカルな反応と一口に語れないほどに流動的な社会関係が開発プロセスのなかで紡がれている様子を描き出す。
 本発表で描く開発プロジェクトは、国内外から「成功例」と評される。理由のひとつは、NGOと農民の「支援者-被支援者」関係が、当該社会の支援で従来みられた庇護的な関係ではなく、参加型開発理念に基づくより対等な関係を指向している点にある。しかし、2008年頃を境に、「親-子」や「キョウダイ」という隠喩で理解されていた「支援者-被支援者」関係のあり方をめぐり、当事者間には解釈の齟齬が生まれるようになった。その結果、NGOと農民の関係は不満や対立を孕みながら展開し、プロジェクトは農民によるNGOへの抵抗、関係の解消という予期せぬ方向に展開した。


※終了後、白山近隣で懇親会を予定しております。



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