2015年度第4回白山人類学研究会
ベトナム村落生活の持続と変化??葬送互助慣行の歴史的考察を通じて

川上 崇さん(東洋大学アジア文化研究所)

□日時 2016年1月18日(月)18時15分〜
□場所 東洋大学白山キャンパス 8305教室
       (地下鉄東京メトロ本駒込駅、または都営地下鉄白山駅)
       http://www.toyo.ac.jp/access/hakusan_j.html        
□要旨
 本発表ではベトナム北部の一村落にお ける葬送互助慣行を、1945年の革命直前から社会主義化を経て、市場経済化の定着しつつある現在までの約60年にわたり跡付け、ローカルな社会生活が如何に変化しつつ持続し、村の現在を成立させているかを報告する。ベトナム村落研究では既に、社会主義化の過程で断行された国家主導の信仰祭祀改革についての実証的解明がなされており、改革の影響は現在の儀礼実践においても色濃く見て取れることが知られている。本発表では先行研究を継承しつつも、調査村の人々の多くが社会主義化の当時を、葬送互助の断絶の時代とは見ていない点に注目する。そして、彼らの歴史認識を念頭に事例を検討し、(1)革命前からの慣れ親しんだ人間関係の在り方が、現在でも葬送互助を初め、社会生活の場での人々の行 動を強く規定していること、(2)社会主義化は、調査村においては、この規範意識を弱めることなく逆に強化したこと、(3)そして、その意識の強化が、市場経済化に伴う経済変化を背景に、現在、葬送互助実践を揺るがす大きな問題を引き起していることを指摘する。



※終了後、白山近隣で懇親会を予定しております。



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