2017年度第5回白山人類学研究会
生活の「延長線上にある」チーズ経営――ペルー、カハマルカ県の山村における経済活動を事例に 

古川勇気さん(東京大学大学院総合文化研究科博士課程)

□日時 2017年10月16日(月)18:15〜
□場所 東洋大学白山キャンパス 8305教室
       (地下鉄東京メトロ本駒込駅、または都営地下鉄白山駅)
       http://www.toyo.ac.jp/access/hakusan_j.html        
□要旨
 従来の人類学的研究では、市場交換と「社会に埋め込まれた」経済は重なり合うものとされてきた。本発表はその指摘を援用するかたちで、互酬交換と市場での利益追求との相互関係を利益のゆくえの視点から明らかにする。利益のゆくえの視点とは、農村において利益追求をおこなう場合、既存の社会関係による互酬交換や再分配に阻まれることなく、利益が追求されるか、否かという分析視点である。  南米ペルー、カハマルカ県の山村においてチーズ生産者たちは周辺農民からの生乳回収を基盤として経営を維持している。彼らと農民との関係は日常の挨拶やモノの交換にはじまり、金銭の貸し借りに及ぶまでの様々な互酬交換によって成り立っている。彼らは、時には貸し越しになる互酬交換や惜しまなく労働力を提供することで山村の祭りを主催する。彼らは単純に損得だけを計算した経営をおこなっているのでなく、常に周辺農民に気を配りながら、時には気前の良さを示して経営をおこなっている。その寛大さが潤滑油となることで周辺の妬みに阻まれることなく、市場での利益追求が実現される。



※終了後、白山近隣で懇親会を予定しております。



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