2019年度第5回白山人類学研究会
山道を歩くこと、山間部を運転すること――ネパール・ソルクンブ郡、山岳観光地域における車道建設をめぐって

古川不可知さん(国立民族学博物館機関研究員)

□日時 2019年12月16日(月)18:15〜
□場所 東洋大学白山キャンパス 8305教室(8号館3階)
       (地下鉄東京メトロ本駒込駅、または都営地下鉄白山駅)
       http://www.toyo.ac.jp/access/hakusan_j.html        
□要旨
 本発表の目的は、ヒマラヤの山岳地帯におけるトレッキング観光と車道建設を事例に、人間の移動には不可避的にともなう身体とモノや環境とのかかわりについて分析することである。
 グローバル化の進展により、移動する人々の流れは地球上の隅々にまで達するようになった。エベレストの南麓にあたるネパール東部のソルクンブ郡にも、近年は年間数万人の観光客が訪れるようになり、建設工事の進む車道は山村社会を急速に変容させつつある。
 これまでの移動をめぐる研究の多くは、人間の移動をマクロな現象として取り扱ってきた。その一方で、いかなる物理構造が移動を可能とするのか、また個別の身体を持つ人々は変化する環境のなかをどのように移動してゆくのかといった、物質的な側面についてはさほど注目されてこなかった。本発表ではまず、峻険な山岳地帯であるソルクンブ郡において何が「道」と呼ばれ、各地から集まる人々が山中をどのように歩いてゆくのかについて確認する。それを踏まえて山間部の車道建設の現状を報告し、山岳観光地域において車道はどのように認識されているのか、車の到来は山間部の生活にいかなる影響を与えるのか、そして山間部を運転するとはどのような実践であるのかを考察する。







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