2020年度第4回白山人類学研究会(オンライン開催)
アートにおける関係性、作家としての民族誌家

鈴木伸二(近畿大学総合社会学部・准教授)

□日時 2020年12月21日(月)18:15〜
 今回も、zoomミーティングを利用してオンラインで開催します。
 参加ご希望の方は以下のフォームからご登録ください。
 例会前日に参加のためのzoomミーティングのリンクをお送りします。
 https://forms.gle/f1y88Jup29nQ3gUx7
 研究会開始の5〜10分前にログインしてください。

□要旨
 今回の報告では私自身が作家として参加した「遺され村の美術展」を事例として、アートと人類学の接触領域でどのようなことが生じるのかについて考えてみたい。この接触領域における生成を考察するために、本報告では「関係性」と「作家としての民族誌家(the ethnographer as artist)」というキーワードを設ける。
 人類学においては、アルフレッド・ジェル以降、人工物のエイジェンシーを考察することにより人間以外の存在を含めた関係性が議論されるようになった。一方、芸術分野でも関係性が議論されるようになっている。その嚆矢となったのが、ニコラス・ブリオーが1998年に発表した「関係性の美学Esthetique relationnelle」だった。関係性の美学は作家と観衆からなる恊働そのものが芸術作品として見なされる理論的な土台となっている。ジェルとブリオーの「関係性」については、すでに人類学で両者の類似性や相違に関する論考がある。本報告では、これらを踏まえた上で、私自身も含め美術展に参加した作家に生じた変化を関係性の視点から考える。
 また、最近ではインゴルドの「アートとともにある人類学」が人類学の実践として注目されるようになった。これに対して芸術分野においては1990年代以降、ハル・フォスターのようにアーティストを民族誌家になぞらえる流れがある(the artist as ethnographer)。現在はこの二つの流れが混ざりあい、人類学とアートの接触領域が深化しつつあると言えるだろう。だが、映像人類学を除いて、人類学者が作家として作品を制作するような状況にはなっていない。アーティストと人類学者は恊働によって一つの作品を作ることはあっても、制作過程における役割分担に変化は生じていないのである。これに対して本報告では「作家としての民族誌家」の可能性について考えてみたい。








白山人類学研究会世話人
代表:長津一史
運営委員:山本須美子 箕曲在弘 左地亮子 ゴロウィナ・クセーニャ 山田香織 寺内大左
お問い合わせは、研究会事務局hakusanjinrui=gmail.com(=を@にかえてください) まで。
東洋大学社会学部社会文化システム学科 〒 112-8606 東京都文京区白山5-28-20 TEL 03-3945-7439 FAX 03-3945-7626
Copyright 2008 (c) Department of Socio-Cultural Studies, Toyo University.
All Rights Reserved. 無断転載を禁ず