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2024年度第1回白山人類学研究会(対面・オンラインハイフレックス方式) |
博物館資料の情報を取り戻す試み
—タイ東北部バンチェン遺跡から流出した土器の現在—
中村 真里絵 (愛知淑徳大学)
日時:2024年4月15日(月)18:15~ (対面・オンラインハイフレックス方式)
要旨
博物館資料は、元々あった地域の文脈から切り離されて展示される。 それらは、出来る限りの情報を残すことでその資料的価値が担保されてきた。 しかし、実際にはそうした情報が付与されていない資料も多く存在する。 行政や研究者の支援を受けていない私設博物館のなかにはこうした資料整理に関する問題を抱えているところもある。 本発表では私設博物館が抱える現状を念頭におきながら、現在、発表者がかかわっている私設博物館、ヨコタ博物館の資料をめぐる問題について検討したい。 愛知県新城市に位置するヨコタ博物館は、故横田正臣氏が収集したコレクションが基になっている。 収集の契機となったのは、1969年の横田氏とタイ東北部のバンチェン遺跡の彩文土器との出会いである。 以降30年にわたって、横田氏は私財を投じて東南アジア大陸部を中心とする資料を1万点以上も収集し、1974年に行政を頼らずに一人で博物館を開設した。 収集の契機となったバンチェン遺跡は1960年代にその存在が知られると、出土する遺物の美しさとその年代測定値の「古さ」が注目を浴び、地域住民や古美術商らの手によりまたたく間に世界に流通したことが知られている。 日本へも多くの遺物が流出した。本発表では、バンチェン遺跡における地域住民への聞き取り調査から、これらの資料がどのように情報を失って日本にやってきたのか、またそれらの資料が現在どのような状況に置かれているのかを明らかにする。 その上で、失われた情報を取り戻す試みとして、現在すすめているヨコタ博物館の資料のデジタルアーカイブス化事業について紹介したい。
本研究会は、人間文化研究機構海域アジア・オセアニア研究(MAPS)東洋大学拠点との共催です。
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