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 2024年度第2回白山文化人類学研究会(対面・オンラインハイフレックス方式)

船大工のクラフツマンシップ
-インドネシア・南スラウェシの船づくりにみる技術の構造化と即興性-



発表者:明星 つきこ(日本学術振興会・東洋大学)

日時:2024年5月20日(月)18:15〜
対面開催と、Zoomを使用したオンライン開催とのハイフレックス方式にて開催いたします。
参加ご希望の方は以下のフォームからご登録ください。
https://forms.gle/14wcywsnaWWrXYXa6
アクセス用のリンクについては、例会前日までにご連絡差し上げます。    
開始の5~10分前にログインしてください。

会場:東洋大学白山キャンパス 第1会議室 2号館3F   https://www.toyo.ac.jp/nyushi/about/campus/hakusan/


要旨:
 インドネシア・南スラウェシ州コンジョ地域は、ピニシ船(Pinisi)をはじめ、漁船や貨物船、また近年では観光船を含む大小さまざまな木造船の一大生産地として知られている。それらの船は地元の船大工らによって一つひとつ手作業で造られている。コンジョの船づくりの技術的特徴としては、設計図を用いないことや、外側の船殻を先に造り後から内側に構造材を取り付けるプランク・ファースト工法である点、また木製釘の利用などが挙げられる。こうした船づくりは、予め設計された通りに作業を進める近代的/西洋的な船づくりとは異なるが、それは必ずしもコンジョの船づくりが前近代的で劣っていることを意味しない。とりわけ現地で伝統的に船用材として用いられてきた木材の特徴を踏まえると、むしろ合理的であるとも言える。
 本研究では、人類学的参与観察をもとに、船づくりの具体的な手順と船大工らがどのように素材を扱っているかを考察した。その結果、コンジョの船づくりは、ある程度パターン化された手順をもとに設計図を用いずとも船体を造ることが可能であり、また曲がりや歪みのある木材を使うために、素材の状態やそれを用いる状況に応じて各種道具を駆使しながら、即興的に適切なパーツを作り、組み立てていることが明らかとなった。本発表では、今日まで受け継がれているこれら技術的特徴を持つ南スラウェシの船づくりを通して、船大工にとってのクラフツマンシップとは何かを探り、また近年の物質文化研究においても重要視されている「もの」と人との相互的なかかわり合い(インタラクション)について検討したい。  

※本研究会は、人間文化研究機構海域アジア・オセアニア研究(MAPS)東洋大学拠点との共催です。

白山人類学研究会世話人
代表:長津一史
運営委員: 左地亮子 ゴロウィナ・クセーニヤ 山田香織 
波佐間逸博 田所聖志
お問い合わせは、研究会事務局hakusanjinrui=gmail.com(=を@にかえてください) まで。
東洋大学社会学部国際社会学科 〒 112-8606 東京都文京区白山5-28-20 TEL 03-3945-7439 FAX 03-3945-7626
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